平成13年度税制改正の概要

(財務省ホームページより一部抜粋して掲載しております)
最近の経済情勢等を踏まえ、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に対応する等の観点から所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改正を行う。

商法改正による会社分割制度の創設に伴い、企業組織再編成(合併・分割・現物出資等)に係る税制を次のとおり整備する。

(注)平成13年度においても、国・地方を合わせ6兆円を相当上回る個人所得課税及び法人課税の恒久的な減税が継続している。


企業組織再編成

 商法改正による会社分割制度の創設に伴い、企業組織再編成(合併・分割・現物出資等)に係る税制を次のとおり整備する。

○法人における課税の取扱い
 資産が移転する際にはその移転資産の譲渡益に課税するのが原則であるが、次の組織再編成については、課税を繰り延べる(ただし対価として金銭が交付された場合は原則どおり譲渡益課税。)。

組 織 再 編 成 の 区 分 要        件
企業グループ内の組織再編成

(持分割合 50%超)


(1)

 独立した事業単位の移転
 (主要な資産・負債+従業者の相当数)
(2)  移転した事業の継続


 持分割合が100%である場合、上記(1)、(2)の要件は不要


共同事業を行うための組織再編成


 事業の関連性があることに加え、











 規模が著しく異ならないこと
   



売上金額、従業者数、その他これらに準ずるもののいずれかの比率が概ね1:5以下


 


 常務クラス以上の役員の経営への参画
(1)  独立した事業単位の移転
 (主要な資産・負債+従業者の相当数)

(2)

 移転した事業の継続

(3)

 移転した資産の対価として取得した株式の継続保有

○株主における課税の取扱い
 株主が、分割承継法人等の株式のみの交付を受けた場合は旧株の譲渡損益の課税を繰り延べる。

○引当金等の取扱い
 組織再編成の形態に応じて所要の措置を講ずる。

○租税回避の防止措置
 繰越欠損金等を利用した租税回避の防止規定に加え、包括的な租税回避防止規定を設ける。

○その他
 会社分割に伴う商業登記・不動産登記等に係る登録免許税を合併並の負担水準とするなど、各税目につき所要の措置を講ずる。
 なお、会社分割による資産の移転は、合併の場合と同様、消費税法上の資産の譲渡等に該当しない。


(注)平成13年4月1日以後に行われる組織再編成について適用。

(備考)連結納税制度については、引き続き、その導入に向けた検討を進める。


住宅税制

○新住宅ローン減税制度の創設

居住の用に供する時期 控除期間 住宅借入金等の年末残高 控除率
平成13年 7 月 1 日から
平成15年12月31日まで
10年間 5,000万円以下の部分 1%

(備考 )平成16年中の居住分については、平成13年後期中に居住の用に供する場合の現行の措置と同様の措置とする。


○住宅取得資金を受けた場合の贈与税の非課税限度額を550万円(現行300万円)に引き上げ、適用期限を3年延長。一定の増改築及び買換えの費用に充てるための金銭の贈与を適用対象に追加。
(注)平成13年1月1日以後の贈与について適用。

○居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の適用期限を3年延長。

○居住用財産の買換え等特例の要件を緩和した上、適用期限を3年延長。


中小企業投資促進税制等

○中小企業投資促進税制(機械装置、一定の器具備品等を取得した場合の30%の特別償却又は7%の税額控除の選択適用)を平成14年3月31日まで適用。

○中小企業技術基盤強化税制の特例(試験研究費の税額控除率を10%に引上げ)を、平成14年3月31日までに開始する事業年度まで適用。



金融関係税制

○株式等譲渡益についての申告分離課税への一本化を平成15年4月1日まで2年延期。その間、源泉分離選択課税制度を存続。

○商品先物取引による所得について、平成13年4月1日から平成15年3月31日までの措置として、20%(地方税含め26%)の税率による申告分離課税とする。

○非居住者・外国法人の一括登録国債の利子非課税制度の対象を、日本銀行及び税務署長の承認を受けた特定の海外金融機関等(グローバル・カストディアン等)を経由した場合にも拡充。



社会経済情勢の変化への対応


[情報通信]

○電子計算機の耐用年数(現行6年)について、パ−ソナルコンピュ−タについては4年、その他のものについては5年に短縮。
(注)特定情報通信機器の即時償却制度は、期限どおり廃止。

○特定電気通信設備等の特別償却制度について、広帯域加入者網普及促進設備を追加。


[特定非営利活動法人への支援]

○特定非営利活動法人(NPO法人)のうち、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたものについて、次の特例措置を講ずる。
 ・個人が支出した寄附金については、寄付金控除を適用。
 ・法人が支出した寄附金については、一般寄附金の損金算入限度額とは別に、特定公益増進法人に対する寄附金と合わせて当該損金算入限度額の範囲内で損金算入を認める。
 ・個人が相続財産等を寄附した場合は、原則として相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない。
(注)平成13年10月1日から適用。


[相続税・贈与税]

○贈与税の基礎控除の引上げ
 贈与税の基礎控除の金額を、当分の間、110万円(現行60万円)に引上げ。
(注)平成13年1月1日以後の贈与について適用。

○相続税の小規模宅地等の特例の拡充
 ・特定事業用宅地などに係る特例の適用対象面積を400m2(現行330m2)に拡大。
 ・特定居住用宅地に係る特例の適用対象面積を240m2(現行200m2)に拡大。
(注)平成13年1月1日以後の相続について適用。


[土地税制]

○次の特例制度の適用期限を延長。
 ・個人の長期譲渡所得課税の特例の税率軽減措置(一律20%(地方税含め26%))
  (3年延長)

 ・優良住宅地の造成等のための譲渡の場合の長期譲渡所得の課税の特例
(4千万円以下15%(地方税含め20%)、4千万円超20%(地方税含め26%))
(平成15年12月31日まで延長)

 ・法人の土地譲渡益追加課税制度の適用停止措置
(一般又は短期所有の場合にそれぞれ5%、10%追加課税の適用停止)
(平成15年12月31日まで延長)

○事業用資産の買換え等の場合の課税の特例(長期所有の土地建物等の買換えについての課税繰延べ等)について見直しの上、適用期限を延長。

○一定のSPC、投資法人等が不動産を取得した場合の登録免許税の税率について、1,000分の16(本則1,000分の50)とする軽減措置を講ずる。


[福祉・環境]

○高齢者向け賃貸住宅供給促進税制(高齢者向け優良賃貸住宅を新築した場合の5年間40%又は55%の割増償却)の創設。

○障害者対応設備等の特別償却制度について、対象設備等にスロープ付タクシー及び低床式路面電車を追加。

○公害防止用設備の特別償却制度について、対象設備にPCB廃棄物処理装置、フロン回収・破壊装置を追加。


その他の租税特別措置

○真に必要な措置を講ずる一方、課税の適正化の観点から整理合理化。



(備考)税理士制度
      税理士法人制度の創設、税理士試験制度の見直し等を行う。